山村武彦防災システム研究所1995 阪神・淡路大震災2008 四川大地震2009 スマトラ沖地震災害現地調査報告


2001年9月1日、新宿歌舞伎町ビル火災44人死亡

新宿ビル火災の教訓再び歌舞伎町ビル火災で2人死亡


火災現場ビル

歌舞伎町一番街

犠牲者を悼んで花が供えられた

☆火災概要
☆火災発生日時
:平成13年9月1日(土) 調査中  
覚  知:     〃       01時01分(119番による)     
  延焼防止:    〃       02時14分
  鎮  圧:     〃       05時36分
  鎮  火:     〃       06時44分
☆出火場所
東京都新宿区歌舞伎町1丁目18−4 明星(ミョウジョウ)56ビル
耐火4階建 地下2階地上4階 複合用途(16項イ)
建築面積 83.07平方メートル 延床面積 497.65平方メートル
(建物所有者 (有)久留米興産)
着工    昭和59年10月 1日
使用検査 昭和60年11月22日
地下2階  76.78平方メートル 機械室、ニュークラブレイン
地下1階  74.60平方メートル カジノパラダイスクイン
1階 82.43平方メートル 事務室(優良店無料案内センター)
2階   〃           ナースイメクラ(セクハラクリニック)
3階   〃           ゲーム麻雀一休       
4階   〃           キャバクラ(スーパールーズ)
☆概要
3階麻雀店エレベータ付近から出火し、4階飲食店に延焼拡大した。3階80平方メートル、4階80平方メート  ルで延焼防止。
なお、出火時3階には客と従業員19名がいてそのうち3名が脱出し16名が死亡、4階には客と従業員28名 がいて全員が死亡。
(特異事項)
 屋内階段は1ヵ所かつ狭隘で、3階から4階の階段はロッカーが多数置いてあり、消防の活動障害となった。
 3,4階の階段の防火戸が開放されていたため、火炎と煙の拡散が早かった。 
☆焼損程度
 3階部分80平方メートル、4階部分80平方メートル、計160平方メートル焼損
☆死傷者
死 者/44人(男性32人、女性12人)
負傷者/3人(男性3人)
☆消防機関の活動状況

東京消防庁 
 救急特別第2出場 救急車 48、火災−第2出場 車両53、計消防車両 101台(内訳・救急48、ポンプ・化 学25、はしご4、救助6、指揮車6、他12)職員 340名 消防団員 21名 計361名
☆新宿消防署は消防査察で消防違反を指摘していたが・・・

 雑居ビル「明星56ビル」を99年10月、新宿消防署を定期立ち入り検査を実施した際、9項目にわたる消防法違反容疑を指摘していたにもかかわらず、ほとんど改善していなかったことが分かった。
東京消防庁によると、違法状態として指摘されていたのは、
@防火管理者の未選任
A消防計画の未作成
B避難場所の障害物
C消火訓練の未実施
D消防設備の未点検
F火災報知機の不備
G避難器具の未設置
H誘導灯の不点灯(2階)。
新宿区消防署は、同ビル管理者に通知し、改善を求めた。
同ビルは、00年2月、消防訓練を実施し、3階のマージャンゲーム店「一休」(当時は別名店舗)など2店舗は防火管理者の選任届を出したが、その他の6項目については改善報告がなかった。4階の飲食店「スーパールーズ」(同)からは防火管理者の選任も含め何の改善報告もなかった。
また、4階には「緩降機」と呼ばれる避難器具があったが、3階は備えられていなかったという。
重大な違反については、消防法に基づく行政指導の「警告」や強制力のある「命令」「営業停止命令」などの改善指導命令ができるが、テナントの流動化が激しく、対象が変わるので、指導が困難だったと思われる。
なお、2003年2月18日、ビルのオーナー及びテナントの関係者など6名が消防法違反、業務上過失致死の疑いで逮捕された。こうした防火管理に関わる責任の追求は大阪千日前ビル火災、川治プリンスホテル火災などがある。
  |新宿ビル火災の教訓防災アドバイザー山村武彦