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問題提起: 警戒宣言が出されるのが東海地震だけでは危険である。他の地域の発生が懸念される地震に対して警戒態勢を強化し他の地域の地震に対しても警戒宣言が出せるよう早急に改善すべきである/山村武彦 |
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警戒宣言は東海地震しか発令されない | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「大規模地震対策特別措置法」(昭和五十三年六月十五日法律第七十三号)以下、「大震法」。)は、日本において画期的な法律です。事後対応型の法律制定が多い中で、事前予見対策型政策の一環として評価できると思います。予め想定した発生が懸念される特定大規模地震(東海地震)を対象にして、事前予知を前提にした「警戒宣言」が出されるものです。「警戒宣言が出されると防災対策、二次災害防止などの大義名分のもとに様々な市民生活緊急規制、私権規制を行うことができる法律です。 平成14年6月、与党議員立法で「東南海地震・南海地震防災対策特別措置法」案をまとめ国会に提出した。同法では地震被害が想定される地域を首相が指定し、中央防災会議が基本計画を策定、津波被害などが予想される地域内の病院、百貨店などの管理責任者に避難計画の作成などを義務付けるほか、対策推進に必要な財政、金融上の措置について国が配慮することとした。また、予知が困難とされる同地震に関する観測体制を強化することになる。で、あるならば、「神縄・国府津松田断層地震防災対策特別措置法」や「宮城県沖地震防災対策特別措置法」、「糸魚川・静岡構造線地震防災対策特別措置法」などなども必要なのではないでしょうか? |
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それでも、警戒宣言が出されるのは「東海地震」に対してだけなのです。日本国内には、数え切れないほど発生が懸念される大規模地震があります。例えば、「南海地震」「東南海地震」「南関東房総沖地震」「宮城県沖地震」「糸魚川・静岡構造線地震」「日本海地震」「神縄・国府津松田断層地震」「首都圏直下型地震」などとともに、全国に散らばっている活断層は2000箇所以上ともいわれています。しかし、これほどたくさんの地震発生懸念があるにもかかわらず、大震法では東海地震以外防災対策強化地域を定めるわけでもなく、予知するためのシステムも整備されておらず、警戒宣言も発令される体制になっていません。本当にこれでよいのでしょうか? 最近国から発表されている向う30年間の大地震発生確率ですと、一番確率が高いのは「宮城県沖地震」で90%、次いで愛知県・三重県沖で起こる「東南海地震」で50%、和歌山県から四国沖で起こる「南海地震」は40%となっている。「東海地震」は36%という試算がだされていて、必ずしも東海地震が第一位ではない。活断層の地震についても、長野県・山梨県に位置する糸魚川ー静岡構造線で14%、神奈川県の神縄・国府津松田断層で3.6%、静岡県の富士川河口断層で0.2%〜11%、奈良県の奈良盆地東縁断層帯0〜5%となっています。ちなみに阪神大震災は4〜9%の時点で地震が発生しました。こうした発表にもかかわらず、東海地震以外の地震に対しての警戒宣言は出されないのです。 |
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発生懸念のある全国の大地震にも警戒宣言が出せるようにすべきである | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
日本は昔から地震列島といわれ、過去100年間に100人以上死ぬ地震が19回も発生しています。いわば約5年に一度は大地震に見舞われている世界有数の地震災害国家なのです。今後、東海地震だけが発生するわけではありません。現に大震法が制定された1978年以降、国内で発生した主な大規模地震だけでも下図のとおりです。
これだけ東海地震に偏った体制が敷かれている背景には、地震学の専門家が切迫している地震として掲げたのが東海地震だけだからです。しかし、それらは100%の確立で発生するとは誰も保証しているわけではなく、いわば学説のひとつでしかない。こうした学説は声の大きな、力の強い人たちの評価によって社会的認知がされているように思われます。 東海地震の体制を維持しながら、他の大規模地震発生への備えるため大震法の適用対象を大幅に増やす必要があると思います。同じ日本人でありながら、同じ納税者でありながら一方は注意深く地震発生が監視され、いざっと言うときは事前に警戒宣言が出され、他はそうした体制がとられていないことに問題がある。早急に改善を図るべきである。 |
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