戸建住宅の耐震補強補助制度を平成16年度より改定(ニュース2003年9月1日)


住宅・耐震補強補助制度改定の見込み

 「東海」「南関東」「東南海・南海」など大規模地震発生時に、建物倒壊の被害を軽減する目的で、国土交通省は、一戸建て住宅の耐震補強工事を施す際の補助制度を見直す方針を固めた。同省は平成14年度から工事費の約15%を国と自治体が補助する耐震補強工事補助制度を始めたが、条件が複雑で厳しいため、利用実績はゼロとなっている。 中央防災会議などが「地震被害の軽減には住宅の耐震化促進が最も有効」との見解を示していることから、同省は来年度から条件を緩和する一方、補助率の上積みも実施することを検討している。

 計画では、緩和後の補助の条件は、1ヘクタール当たり30戸という住宅密集地にあり、倒壊すると道路をふさぐ危険がある一戸建て住宅。現行制度では、建物の老朽化率を条件に盛り込んでいるが、これは除外する。また、耐震補強だけでなく、耐震のための建て替えについても新たに認める方針のようだ。

 対象地域として、国土地理院長の諮問機関である地震予知連絡会が「地震の起こる可能性が高い」として、「観測強化地域」や「特定観測地域」に指定している「宮城県東部・福島県東部」「南関東」「名古屋・京都・大阪・神戸」「伊予灘及び日向灘周辺」などの10地域を想定している。さらに同省は、特別措置法がある東海地震と東南海・南海地震の強化地域については「大地震が切迫している」として、補助金額を数十万円規模で上乗せすることも検討している。これらの対策で同省は初年度15億円を見込む。

 現行制度は、東京や大阪など大都市を中心にした密集住宅市街地整備促進事業の一環として、02年度にスタートした。しかし、地域の住宅老朽化率が一定以上でないと受けられないなど、条件が厳しかった。また、各市町村では無料耐震診断や市町村独自の耐震補強工事補助制度、融資斡旋などを行っているが、実施率、利用率は全体として低く推移している。

 推計によると、マンションなどを含めた全住宅数約4400万戸のうち、建築基準法改正以前の古い耐震基準で建てられた住宅は約2100万戸あり、約1300万〜1400万戸は耐震性に疑問があるとされる。とくに、阪神大震災で倒壊による死者が多かった一戸建て住宅の対策が課題となっている。マンションについては同省は、耐震診断を促進するための補助などを検討している。

 住宅の耐震化を巡っては、02年7月に中央防災会議がまとめた「今後の地震対策のあり方」の中で、被害軽減策として住宅の耐震化を強く進めることが盛り込まれた。今年7月に閣議決定された「東海地震緊急対策方針」にも耐震化の促進が組み入れられた。住宅の耐震化補助は静岡県などが実施しているが、利用率は高くない。
 


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