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平成24年宇治市豪雨災害・現地調査・写真レポート(速報)

犠牲者のご冥福をお祈り申し上げ、被災者に心よりお見舞い申し上げます(写真及び文/山村武彦

京都府宇治市・志津川東詰に通じる道路崩壊 

2012年8月13日夜から14日にかけ大阪、京都、滋賀などを局地的豪雨が襲った
近畿各地で土砂災害、河川の氾濫が発生、建物が流されるなど被害が続出
この洪水の特徴は大河川(瀬田川、宇治川、淀川)での氾濫がなかったにもかかわらず
その一次支流、二次支流の中小河川(戦川、志津川、弥陀次郎川など)が市街地で多数氾濫したことにある
  宇治市災害対策本部によると、15日午後5時現在、床上浸水が517軒、床下浸水が1278軒で、計1795軒
まだ細かい路地の状況などが把握し切れていないため、今後も増える見通し
災害から2日後の16日、死者行方不明者2名を出した京都府宇治市の現地調査を実施した 
 
宇治市豪雨災害の課題(速報ベース)
東海豪雨相当降雨(1時間95o、48時間425o)に係る浸水想定区域図が発表されていた
ほぼ想定通りの浸水被害が発生したが、このハザードマップは住民に十分認知されていなかったこと
大雨警報、短時間記録的大雨情報、避難勧告、避難指示など、適切かつ迅速な防災情報伝達不備
(14日早朝4時〜5時ごろに民家が流された志津川地区に避難勧告が出されたのは14日14時10分)
ずっと雷鳴がとどろき、人の声が聞こえない滝のような豪雨、深夜の避難は極めて困難だったこと
洪水から2日経過しても浸水区域における消毒作業はほとんど見られなかった
住宅街に漂う猛烈な悪臭、災害後の衛生管理対策の遅れ
そして、市街地を流れる中小河川の氾濫防止対策の脆弱さなど数多くの課題が残された

志津川(宇治川の支流)



上の画面中央に橋がかかっていたが、濁流と流倒木によって流された(志津川)
豪雨により志津川沿いの住宅1棟が流され、西山栄三さん(69)と妻の初美さん(83)が行方不明となった
住宅は橋のすぐ横にあり、橋に引っかかった流倒木で流れが変わり、住宅側に濁流が押し寄せ
志津川べりにあった石組み堤防を崩し、一段低かった住宅の基礎ごと流されたものと推測されている。
2日後、8月16日午前11時15分ごろ、約3q離れた宇治川左岸で自衛隊員によって栄三さんの遺体が発見された。
初美さんの行方は今もわからず、捜索が続けられている(8月16日現在)
この志津川東詰地区では橋が流され、数戸が一時孤立。消防がはしごを掛けて住民を救助した。
妻とともに救助された上田順彦さん(76)は「早朝にゴーというすごい音がしたので
窓の外を見ると川があふれていた。まさか自分がこんなことになるとは思わなかった」と語った


橋に堆積した流倒木と流出灌木の除去(志津川)

 
流された道路

ガードレールの右側に駐車場があったが、土砂に埋まりそこに車が埋まっているとの情報


孤立地区への給水活動
 
 
この橋が流され、孤立した志津川東詰地区へ宇治市消防団員が飲料水を徒歩で運ぶ

無事だった家では助け合いが始まっている

川幅2メートルの小河川が氾濫し住宅街に濁流をもたらせた
(屈曲部や橋げたなどに流倒木、流出灌木などが引っかかって流れをせき止めたと思われる)
宇治市で豪雨が記録されたのは主に南部で、北部のほうではほとんど被害はなかった
異常気象時代の今、局所的なゲリラ豪雨により、土石流や流倒木などによる中小河川氾濫が今後も想定される
宇治豪雨災害の教訓は、こうした内水氾濫ともいえるような、市街地における中小河川の洪水対策が焦眉の急
従来のような流域全体の降水量ではなく、ゲリラ豪雨による短時間洪水にも備える必要がある

宇治川支流・弥陀次郎川(みだじろうがわ)氾濫
濁流が右側の住宅街(五ケ庄西河原地区など)を襲った

弥陀次郎川の氾濫で、右側の塀に残された洪水の跡

土砂で埋まった側溝、周囲には悪臭が漂うが、消毒などは行われていない
夏場の災害は、迅速な衛生管理体制強化が鉄則
直接の関係はないが、一部地区に配布された緊急食糧で集団食中毒も発生している

戦川の氾濫で流れ込んだ泥だし(宇治市莵道(とどう)地区)


 


こうした小さな川も氾濫



間伐や山林の維持管理が適切に行われているところでの土砂災害発生は少ないといわれる
中小河川対策と併せて、上流の急傾斜地における林野対策・土石流防止対策も喫緊の課題
九州北部豪雨・写真リポート参照

”平等院と源氏物語のまち 宇治”
世界遺産 平等院は境内の一部で土砂が崩れたが、拝観に影響なし
また、源氏物語ミュージアムも平常どおり開館している
電車などの公共交通機関も平常通り運行

山村武彦/災害現地調査写真リポート 
 
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