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2025年静岡県牧之原市・吉田町・掛川市 竜巻災害/現地調査写真レポート(速報)
文・写真/山村武彦

出典:フジテレビ日曜報道
国内最大級の竜巻
2025年9月5日12時50分頃、静岡県牧之原市静波(しずなみ)から榛原郡吉田町大幡(おおはた)にかけて発生した
突風の種類について気象庁は「竜巻」と認め、その強さを風速約75m/sと推定、改良藤田スケールでJEF3に該当と発表
これは国内最大級の規模と推定される竜巻
(上記写真は翌日気象庁が現地に派遣した「気象庁機動調査班」)

1.突風をもたらした現象の種類
  突風をもたらした現象は、竜巻と認められる。
 (根拠)
  ・突風発生時に活発な積乱雲が付近を通過中であった。
  ・突風発生時に移動する渦を撮影した画像が得られた。
  ・確度が高い、移動する渦の目撃証言が複数得られた。
  ・被害や痕跡は帯状に分布していた。
  ・被害や痕跡から推測した風向は不規則であり、様々な方向がみられた。
  ・竜巻に特徴的なゴーという音が移動したという証言が複数得られた。
  ・突風はごく短時間(1分程度)であったという証言が複数得られた。
  ・耳の異常等体感の証言が複数得られた。
  ・建物壁面の高い部分への泥の付着がみられた。
 2.突風の強さの評定
  この突風の強さは、風速約75m/sと推定され、日本版改良藤田スケールでJEF3に該当する。
 (根拠)
  ・鉄骨系店舗の外壁材の飛散


 12時30分頃、静岡県掛川市で発生した突風
1.突風をもたらした現象の種類
 突風をもたらした現象は、竜巻の可能性が高いと判断した。
(根拠)
・突風発生時に活発な積乱雲が付近を通過中であった。
・被害や痕跡から推定した風向は不規則であり、様々な方向がみられた。
・突風は短時間(1分程度)であったという証言が複数得られた。

・建物壁面の高い部分への泥の付着がみられた。
2.突風の強さの評定
 この突風の強さは、風速約55m/sと推定され、日本版改良藤田スケールでJEF2に該当する。
(根拠)
・大型自動車の横転、屋根ふき材の飛散


上図は日本版改良藤田スケール(JEF)/これまでに日本ではF4以上の竜巻は発生していない

 竜巻で多数の電柱が損壊、大規模停電が発生していたが中部電力による懸命の復旧作業により、3日目に停電は解消

竜巻はひとつではなく同時刻帯に複数発生したものと推定される(損壊・傾倒状況と住民証言)
この竜巻で掛川市、牧之原市~吉田町などの被害、台風15号による浸水を含め静岡県内で住宅被害は1836棟
また、人的被害は吉田町で死者1名が確認されたほか、重傷者8人を含む負傷者は83人に上っている(9/10現在)
牧之原市では2021年、2022年にも竜巻に襲われており、この4年間に3回竜巻が発生し被害を出している
牧之原市は竜巻が発生しやすい地形(海に近く、低い山があり、大井川を含む低地・平野が広がっている)だが
竜巻は海岸近くだけでなく内陸部でも発生しており、地形や気象条件によってはどこでも発生する可能性がある

吉田町の竜巻は大井川付近から市街地方向に向かった可能性も(複数の住民証言など)
上記写真の住宅は大井川の堤防下にあり、近接する河川敷では複数の樹木が折損していた

 今回の竜巻は台風15号接近に伴う大気の不安定な状況から発生したもの見られている
北半球の竜巻は一般的に反時計回りで、強い上昇気流によって起きる猛烈な空気の渦巻き
竜巻により大型トレーラーが横倒しになるなど多数の車両が損傷した(写真は牧之原市細江にあった車両)
吉田町の商業施設駐車場で竜巻により車ごと横転し、意識不明だった藤枝市に住む50代男性は
病院に搬送されたが、その日の夜死亡が確認された
現場に行くと金網フェンスが折れ曲がり、風圧の激しさを物語っていた









ガラスが吹き飛ばされた公衆電話


太陽光発電施設のソーラーパネルも損壊





屋根が飛ばされた共同住宅












竜巻の危険度を調べる
竜巻発生確度ナウキャストの見方竜巻発生確度ナウキャスト
注意キーワード
・気象予報で「大気が不安定」「落雷」「突風」「線状降水帯」のワードがあった地域は竜巻注意
・予報で「竜巻注意情報」や「雷注意報」が発表された時
竜巻の予兆現象
・空が急に暗くなる
・稲光や落雷の音がする
・急に冷たい風や強い風が吹く
・大粒の雨やひょうが降る
・垂れた真っ黒な雲が広がる
・漏斗雲が見える
・土や草の臭いがしたり、土、砂、木の葉が飛んでくる
・耳がキーンとなる(気圧の変化)
竜巻が発生した時室内にいたら
・雨戸やカーテンを引いて、窓から離れる
・2階より1階、1階より地下があれば地下が安全
・窓のない部屋(風呂場、トイレ)等に身を隠す
外にいたら
・頑丈な建物内に避難する
・外部作業する場合、いつでも頑丈な建物に避難できるようにしておく
・車に乗っていたら、車を降りて頑丈な建物内に入る
・プレハブや脆弱な建物から離れる
・電柱、樹木から離れる
・野原等建物などがない場合は、橋の下や側溝に身を隠す
平時の準備
・ガラス飛散防止フィルムを貼っておく
・停電に備えて、バッテリーの充電、予備乾電池の準備
・飛ばされそうなものは固定するか室内に入れる
・瓦屋根は風対策の補強をする

この竜巻による犠牲者のご冥福と被災者の一日も早い生活復旧・復興をお祈り申し上げます/山村武彦

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