講演予定・実績山村武彦プロフィール防災システム研究所


有事(武力攻撃)から身を守るための知識と知恵

紛争や戦争がないことを望みます。しかし、それでもミサイル、化学兵器、核兵器などの攻撃を受けた場合、ただ祈っているだけでは自分や家族の命、そして国家は守れません。一人一人の身を守るための知識と準備と備蓄が大切です。近々に紛争や戦争に巻き込まれる危険性や国際情勢の緊迫度などは情報収集である程度察知することは可能です。しかし、戦争状態になってから準備したり水や食料を備蓄しようとしても必要なものは手に入りません。情報収集と併せて大規模地震対策としても今のうちに7日分(できれば2週間分)の備蓄をお勧めします。そして、万一武力攻撃などを受けたとき、パニックにならないように自分や家族の命を守るための対応策や行動を予め確認しておいてください。みんながパニックになり社会が混乱すれば敵の思うつぼです。脅しに屈せず毅然として対応すること、理不尽な攻撃や敵と対峙する姿勢を見せることが結果として国を支えることになります。大規模地震発生時は自衛隊員が救助活動などで大活躍してくれました。しかし武力攻撃事態発生時、自衛隊員たちは身を挺して国土防衛を優先します。そういう時こそ自衛隊に頼らず、自分たちの命は自分たちで守らなければなりません。国家の危機の時は祖国のために戦う自衛隊員を精神的にも支援する側に回るのです。自由と安全は誰かが与えてくれるものではありません。自らも努力してこそ得られる権利なのです。
                    防災アドバイザー 山村武彦

 
1、情報収集
(1)海外の動きを知る

平時からニュースや国際報道などで国際状況の確認してください。
BSワールドニュースBBCCNNなどの国際ニュース
外務省・海外安全情報
外務省・海外安全情報モバイル版
米国・国務省HP 海外危険情報
 
(2)デフコン
★アメリカ国防省のデフコン(Defense Readiness Condeition・防衛準備態勢)レベル
米国本土・領土に危機が迫った場合、国防省が防衛準備レベル(デフコン・Defemse Readiness Condition・戦争準備態勢)を宣言します。米国本土・領土に直接的影響がない場合でも、国外に展開している基地・部隊・艦隊にデフコンが命令される場合もあります。しかし、こうした情報が常に公開されるわけではありませんが、目安として米国の動きなどから危険度や切迫性を知ることができます。

★デフコン5(平時態勢)
平時における防衛準備状態を示す。準備状態の上昇は統合参謀本部が実行し、国防長官が宣言する。
★デフコン4(準備態勢)
情報収集の強化と警戒態勢の上昇を意味する。冷戦時に大陸間弾道ミサイル部隊のデフコンはこのレベルだった。
★デフコン3(高度な準備態勢)
通常より高度な防衛準備状態を示している。米軍の使用する無線は機密コールサインに変更される。第4次中東戦争時の1973年10月25日、2001年9月11日の同時多発テロ事件の際もデフコン3が宣言された。
★デフコン2(準戦時態勢)
最高度に準じる防衛準備状態を示す。キューバ危機の際に一度だけ宣言されたことがある。1962年10月23日に宣言され、戦略航空軍団はB-52とB-47を滑走路待機とした。このときは11月15日まで継続された。
★デフコン1(国家総力戦態勢)
最高度の準備を示している。現在まで用いられたことは一度もないが、米軍や米国領土に対する外国軍による切迫した、又は進行中の攻撃のため予約されている。核兵器使用が許可されることもある。
 
(3)国民保護ポータルサイトhttp://www.kokuminhogo.go.jp/pc-index.html
ミサイルが発射された場合、イージス艦(SM-3)や迎撃ミサイルパトリオット(PAC3)で撃ち落とすこともできます。しかし、現状では予告なく同時に複数発を発射された場合、すべてを撃ち落とすことは難しいといわれています。そこでミサイル発射を覚知でき次第、官邸が消防庁(Jアラート)を通じて全国自治体、指定公共機関、メディア、学校、などに警報を発報します。
あるいはEm-Net(エムネット・緊急情報ネットワークシステム)を通じ官邸から内閣官房の行政専用回線(総合行政ネットワーク・LGWAN)を利用し都道府県・市区町村と指定公共機関、指定行政機関に伝える仕組みもあります。こうした知識や仕組みを認識しておくためにも国民保護ポータルサイトを定期的にチェックしておいてください。
 
(4)Jアラート・エリアメール、防災メール
例えば北朝鮮のミサイル発射情報は、米国の早期警戒衛星(SEW)、日本海に展開するイージス艦、青森・京都に配備されているXバンドレーダーなどで覚知された後、政府が日本領にミサイルが飛来する可能性があると判断した時にJアラートが発報します。そのあと官邸→消防庁→Jアラート(全国瞬時警報システム)で衛星回線を使って自治体等に瞬時に伝達されます。自治体に届いた情報は防災行政無線を自動起動させ外部スピーカーなどでサイレンと共に放送されます。そして、スマホや携帯電話のエリアメールや防災メールで(とくに登録しなくても)Jアラートを伝達します。それでも念のために「防災速報」などのスマホアプリを入れておくとよいと思いでしょう。(格安スマホの一部で情報が入らない機種があるようですので、念のため確認しておきましょう)さらに大切なのはJアラートが鳴った時、身を守るためにただちにどう行動すればいいのかを事前に家族で話し合っておく必要があります。

 
2、Jアラートが鳴った時
 例えば北朝鮮からミサイルが発射された場合、場所によって異なりますが概ね10分前後で日本に着弾する可能性があります。それを察知し確認しJアラートを作動させ、防災行政無線で放送されるまでに3分から9分かかると言われています。とくにミサイルの着弾予想地区を特定するには多少時間がかかる可能性があります。いずれにしてもJアラートでミサイル発射情報を聴いたらきわめて短時間(例えば1分以内とか)で近くに着弾する前提で行動する必要があります。ミサイルに神経ガスなどの化学兵器が搭載されている可能性もあります。状況によって絶対安全という対応はありませんが、少しでも危険から離れ被害を少なくすることが大切です。
 
(1)室内にいるとき
  ドアや窓を全部閉めカーテンを閉じてください。
  エアコン、換気扇のスイッチを切ってください。
  ドア、窓ガラスから離れてください。
  部屋の中央に座るか窓のない部屋に行ってください。
  身体を伏せるかしゃがんで衝撃に備えてください。
 
(2)屋外(街中)にいるとき
  近くのビルや頑丈そうな建物の中に避難する。
  ミサイル発射情報では直ちに地下街、地下室などに避難する。
  ミサイルが着弾したときは、できるだけ離れ、建物や遮蔽物の陰で身を伏せてください
  着弾したと思われたら、マスクをし風上方向に避難してください
(3)車を運転している場合
ハザードランプを点滅させ、できるだけ路側帯やパーキングエリアなど道路外の場所に車を停めてビルや地下街などの中に避難してください。止むを得ず道路に置いて避難する場合は道路の左側端に沿って、停車しキーを点けたままドアをロックせず駐車するなど緊急車両の妨げにならないようにしてください。

(4)屋外(郊外)にいるとき
  周囲に建物がない場所だったら、土手などの遮蔽物の陰に避難してください。
                       地面に身を伏せてください。
 
神経剤や神経ガスなど化学兵器の脅威が囁かれますが、戦争における化学兵器や生物兵器などの使用禁止を定めたジュネーブ議定書(1925年)、開発、生産、保有、使用が禁止された生物兵器禁止条約(1972年)、化学兵器禁止条約(1993年)がありますので実際に使用される危険性は低いと思われます。ただし、化学兵器禁止条約の締約国は192とほとんどの国が締約している中で、エジプト、南スーダン、北朝鮮は未だ署名していません。しかし、それでも化学兵器を使用した場合は世界中の非難を浴びることになりますので国家の体制が維持されている限り使用されることはないと思われます。それでも敵対国の混乱や後方攪乱を企図して、実際に使用しなくても使用を暗示し脅かしとして使われる可能性があります。ですから、むやみに不安がったりパニックになったりすれば敵の術中にはまることになります。そのためにも最低限度の知識と対応策を知っておく必要があります。
神経剤とは神経系統を攻撃する人工の猛毒で、即効性があり鼻、口、皮膚、目からも吸収される可能性がある。神経剤・神経ガスを兵器として屋外で使用するのは不可能ではないが多くの人間に被害を与えるためには莫大な量が必要な上、気温、風速、風向き、湿度といった気象条件に大きく左右される。ただし閉鎖空間では甚大被害になる可能性がある。神経剤を使用して物や水源を汚染する可能性は低いと考えられるがゼロではない。

(5)神経剤・神経ガス(サリン、ソマン、タブン、VX)などが拡散する疑いがある場合
直ちに現場を離れ、新鮮な空気を求める。(現場を離れるまでなるべく息を吸い込まない、無理なら呼吸は浅くする)。
ハンカチ、タオルなど(できれば濡らしたもの)で鼻と口を覆う。(あればゴーグル、長袖、長ズボン、手袋、長靴を装着する)
濃度によって異なるが、一般的に神経剤は空気より重いので地下、低地、窪みなどを避け、風上方向に避難する。
万一神経剤を吸入又は触れたと思われる場合、病院又は消防署に連絡し専門家の指示に従う。速やかに治療および呼吸補助を受ける。早急にアトロピン及びプラリドキシム解毒剤の投与を受ける。ふだんから医療機関や緊急連絡先の電話番号がすぐにわかるようにしておく。神経剤に見舞われたと思ったら、すぐに目を洗い、被害を最小限にする。頭を傾けまぶたを広げて指で押さえ片目ずつ5〜10分水を流しながら洗う。なるべく早く衣服を脱ぎ、二重にしたポリ袋に入れて密封する。アクセサリーや時計など身につけているものも外して洗う。
サリンやVXに汚染された場所を除毒するにはサラシ粉(次亜塩素酸カルシウム)や漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)を5%程度に希釈し除染する。
・濃度や量によって揮発する時間は異なるが一般的にサリンは5時間〜24時間、VXは約7日間程度といわれる。
神経ガスを吸い込んだ場合、数秒から数分で症状が現れ、致死量(濃度によって異なる)を超えると1〜10分で死亡する。液状の神経剤に触れた場合は被爆から発症まで5分〜18時間かかることもある。濃度が高ければ死亡する。完全な快復には数か月かかる。被害が大きければ神経系に恒久的な障害が残ることがある。吸入による軽度の被爆の場合、急に鼻汁が止まらなくなる。涙目、息切れ、くしゃみ、唾液の分泌、頭痛、多汗、胃痛、吐き気、喉及び胸の締め付け感、多くの場合瞳孔が小さな点になるほど収縮するが瞳孔拡大を起こす人も多い。
吸入による重度の被爆の場合、前述の症状が悪化するほか、唾液、排尿だけでなく、排便、嘔吐も制御できなくなる。口腔及び鼻の分泌物に血が混じる。意識消失、痙攣、弛緩性の麻痺がおこり、全身の筋肉が弛緩して動かせなくなる。喘鳴、呼吸筋の麻痺に伴う呼吸不全に陥る。
サリンやVXの防毒マスクは一般的なガスマスクでは効果がないため、メーカーに確認し専用のものを選ぶ。ただし、呼吸だけでなく皮膚等からも吸収するので本来は防護服でなければ完全とは言えない。(出典:The Survival Guide/Dr. Angelo Acquistaより)
 

(6)その後の情報にも注意してください

  テレビやラジオをつけ、情報に注意してください。
  攻撃が続く場合、化学兵器が使用された可能性があったら外へは出ないでください。
  防災行政無線、エリアメール、防災速報などに注意してください。
  広域避難の可能性がありますので、非常用持ち出し袋などを準備・確認してください。
(7)避難の指示が出されたら
行政機関からの避難の指示としては、屋内への退避、指定避難所への避難、市町村や都道府県の区域を越えた広域避難などが考えられます。行政機関から避難の指示が出された場合、指示に従い落ち着いて行動してください。
★自宅から避難するときの留意事項
  ガスの元栓を閉め、電気器具のプラグを抜いておく。冷蔵庫のコンセントは指したままにしておきます。
  丈夫で履きやすい靴、長ズボン、長そでシャツ、帽子を着用し、非常持ち出し品を確認して持参します。
  パスポート、運転免許証など身分を証明できるものを携行してください。
  健康保険証、持病の薬、お薬手帳、連絡先などを持参してください。
  家の戸締りをしてください。
  隣近所の人に声をかけて一緒に避難してください。
  身体の不自由な人がいたら、ほかの人にも応援を求め避難の支援をしてください。

 

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