 |
※マスクの知識
罹患者の咳・くしゃみなどによる飛沫感染予防と感染拡大防止目的のマスクは、ウイルスが透過しにくいマスクを使用すべき。望ましいのは医療現場で使用される「サージカルマスク」が良いが、市販マスクでも咳をしている人のウイルス拡散防止にはある程度の効果があると考えられています。
インフルエンザ患者と近距離で接触する可能性のある業務にあたる人は透過しにくい「N95マスク」または「N100マスク」を装着すべきす。ただし、マスクを着用しているからといってもウイルス(直径1万分の1mm)の吸入を完全に防護できるわけではないことに留意する必要があります。また、マスクの装着はマスクの説明書に従って正しく装着することが重要です。
※N95基準:
米国CDC(米国疾病管理予防センター)が定めた国家基準で「0.3μm以上の微粒子を95%以上阻止できること」で、WHO(世界保健機構)、CDC、厚生労働省がSARSの患者、その疑いのあるいは可能性のある患者と接触する場合において、医療従事者にN95規格をクリアしたマスクの着用を推奨しています。
※備蓄
マスク、消毒薬、食糧、飲料水などのインフルエンザ対策用品は、流行の兆しが伝えられたり、警報が発せられた瞬間から品不足となると想定されます。家庭、企業は籠城に備えて事前に1ヶ月分の備蓄をお勧めします。
|
山村武彦の新型ウイルス3原則 |
●エチケットが重要
重要なのは咳やくしゃみが出てからマスクをかけるのではなく、流行の兆しが見えたら、外出時は全員がマスクをかけること、唾や痰を吐き捨てないことです。そして、咳やくしゃみをするときは必ずティッシュを鼻と口に当てて周囲に飛沫をかくはんしないようにしましょう。被害者、加害者、傍観者にならないためのモラルとエチケットが重要です。
※ウイルスの感染
●飛沫感染
感染者からの唾、痰、血液、体液などの飛沫によって、口、のど、眼、皮膚などの粘膜から吸入感染します。
●接触感染
ウイルスの付着した人、モノに接触して、口、のど、眼、皮膚などの粘膜から吸入感染します。
●空気感染
乾燥した空気中に、感染者が排出したウイルスの飛沫核が浮遊したものを吸入し感染します。空気感染は飛行機内、電車内など狭い閉鎖空間で発生する可能性があります。 |
1、感染しない(感染防護対策)
(1)流行の兆しが見えた場合・予防エチケット10則
@不要不急の外出は控える。
A集会、イベントは自粛し、参加は控える。
B電車、バスなど人が密集する交通手段利用や人混みは避ける。
C外出時は全員がマスクを装着し、咳やくしゃみをするときはティッシュで鼻や口を覆い人から離れて行う。つば・痰は吐き捨てない。
D咳をしている人、マスク未装着の人とは2m以上離れる。
E出入り口で靴底を除菌マットで消毒する。
F出入り口で衣服に除菌薬スプレーで消毒する。
G使用済マスクなどは消毒薬を噴霧しビニール袋に密封してからバイオハザードボックスに廃棄する。
H出入り口で手指消毒を行う。
Iうがい薬で念いりにうがいをして、手のひら、手の甲を石鹸で泡立て流水でていねいに洗浄する。
J外出時に持ち歩いたバッグは抗菌タオルで拭く。
(2)室内の対策
@加湿器などで室内の適切湿度(50〜60%)を保つ。
A室内の換気をこまめに行う。
Bできればウイルス除去可能の空気清浄機を使用する。
C荷物・郵送物が届いたら、消毒スプレーなどで消毒する。。
D食器、ふきん、まな板は熱湯または漂白剤等で消毒する。
E洗浄装置付トイレはウイルスが飛散する可能性があるので装置は使用しない。タオル類は共用しない。
F風呂は共用しないで、シャワーを使う。
G室内、トイレ、浴室、洗面所はこまめに消毒する。
H来訪者と面談するときはマスクを着用する。 |

ウイルスの接触機会を減らすことと、水際でのウイルス侵入阻止が大切。しかし、感染者は自覚症状が出る前からウイルスを排出する場合もあると考えられていますので、絶対阻止は困難ですが、できうる限りの対策をしつつ室内の衛生管理を強化すべきです。 |
2、持ち込ませない(侵入阻止対策)
@人との接触を防ぐため、用件は極力電話、メールなどで済ませる。
A罹患者(風邪症状)立ち入り禁止表示板を掲出する。
B出入り口には靴底を消毒する消毒薬入りマットを設置する。
C来訪者対応用面談ブースを設置する。
D来訪者とは来訪者用面談ブースで面談する。
E廊下通路、エレベーター、ドアノブ、トイレ等の共用部分の清掃・消毒をこまめに行う。
F共用OA機器の清掃・消毒をこまめに行う。
G出入り口でバッグ等携帯品の消毒を行う。
H清掃員の衛生管理チェックを第三者が定期的に行う。
Iエアコン、空気清浄機のフィルターの洗浄・消毒をこまめに行う。
|
●潜伏期間
潜伏期間は平均3日と考えられています。
●自覚症状
潜伏期間が過ぎると・・・
@38℃以上の発熱。
A強い倦怠感。
B筋肉痛、関節痛が伴う場合があります。
C腹痛、下痢を伴う場合が多い。(30〜70%)
D高熱はずっと続くことが多い。
Eのどの痛みや鼻水、咳は少ない場合もあります。
Fその後数日以内に息苦しさ、激しい咳、呼吸困難など肺炎症状が出て、急速に病状が悪化する場合があります。
G鼻血や歯茎からの出血が起こる場合があります。(30%)
Hウイルスが血流によって様々な臓器を感染させ、生体防御が働く炎症反応等が過剰に起こった結果、多臓器不全となると言われています。痙攣、意識障害、麻痺、心不全、むくみ、吐き気、腎不全なども引き起こす可能性があるとされています。(診断・対応は医師の指示に従う)
●事前家族会議と訓練
@事前家族会議を開いて、正しい知識を共有する。
A事前備蓄用品の確認(数量、保管場所、使用方法)する。
B家族全員が寝込んでしまう可能性があるので、非常用品の保管場所などの確認と使用方法など、感染した場合の対応訓練を行う。
●備蓄と対策マニュアル
@流行の兆しが見えた時から、マスク、使い捨て手袋、抗菌ウエットティッシュ、消毒薬、漂白剤、消毒マット、防護服、バイオハザードボックス、密封ビニール袋、イソジンうがい薬、解熱剤、正露丸、手指消毒スプレー、加湿器、ウイルス除去空気清浄機、アイスノン、非常用食料、非常用飲料水、スポーツ飲料、レトルト食品などが店頭から姿を消す可能性があります。事前に最低1カ月分の非常用品の備蓄をお勧めします。
A企業等は事前に衛生・健康管理強化、研修会、BCP観点の新型インフルエンザ対策マニュアル策定が急務です。
|
3、蔓延させない(拡大阻止対策)
※発症の疑いがあったり、感染者がでたら・・・
@一切の外出を自粛する。
A保健所感染の疑いがあったら、ただちに地域の保健所へ電話んして状況を説明する。そして、指定された医療機関で診断を受けるか、保健所職員の訪問指導を受けるかの指示に従う。
B感染している可能性があると判明した場合、指定医療機関に入院できれば入院しできなければタミフルなどを処方してもらい、自宅で療養する。
Cビルやマンションの場合、管理者等に連絡すると共に全体エアコンシステムの場合は、エアコンを停止するよう要請する。
D勤務先・学校など関連先へ連絡する。
E自宅で療養する場合は患者及び家族の両方ともマスクを装着する。
F患者の排泄物などの処理をするときは、ウイルスに汚染されている可能性がるので、マスク、ゴーグルをつけ直接手を触れずビニール手袋などを着けて処理する。患者の体液などついたもの、鼻水、血液、痰などのついたティッシュはビニール袋に入れて消毒薬を噴霧し密閉して専用の袋に入れて処理する。
G自宅療養の場合は、「感染者療養中」の表示板を入口に掲出する。
H患者の汚物で汚れた衣服等は、次亜塩素酸ナトリウムを含む漂白剤の水溶液に一定時間(1時間以上)浸し消毒した上で洗濯する。次亜塩素酸ナトリウムは500〜5000ppmで使用するととされているが、メーカーや製品ごとに表示された使用方法に従って使用する。患者と家族の衣服は分けて洗濯する。
I室内の湿度は加湿器などで50%〜60%に保持する。
J定期的に窓などを開けて換気を行う。
K病室、床、廊下、洗面所、トイレ等を朝夕消毒・清掃する。患者が使用した後は清掃・消毒をする。
L患者が使用した食器と、他の家族の食器は分けて洗い、中性洗剤で洗ったあと熱湯消毒し乾かして収納する。または次亜塩素酸ナトリウムを含む漂白剤に一定時間浸けて消毒したあと乾かして収納する。
M熱が出ている時は、アイスノンや氷枕などで頭、脇の下を冷やし解熱する。
N水分はこまめに補給する。食事が取れない場合、病院などが満員で点滴が受けられない場合、点滴の代わりになるのは薄めたスポーツ飲料を薄めて飲ませる。
O家族全員が寝込む場合などもあり、調理ができない場合はレトルトのお粥、缶ジュースや粉末スープ、果物の缶詰シロップをお湯で薄めて飲ませます。
P患者が入った風呂に他の家族は入らない。
Q症状が回復しても、医師の承認を得ないで外出は控える。
(対応は医師の指示に従う)
※正しい知識と適正備蓄がパニックを防ぐ
新型インフルエンザ対策で懸念されるのは、社会全体がパニック状態に陥ることです。昨今の報道は新型インフルエンザの恐ろしさばかりが喧伝されているように思われますが、元来清潔好きの日本人ですから正しい知識と適正備蓄さえ持てば蔓延を抑制することは可能だと思います。
国は「備蓄条例」を制定すると共に、正しい知識、適切な情報の提供、意識啓発にコストとエネルギーを集中すべきと思います。 |