安政南海地震(1854年)

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安政南海地震

いつ発生しても不思議ない東海・東南海・南海地震
1605年/慶長地震(東海・東南海・南海地震、同時発生・死者5千人以上)
M8以上
 102年後
1707年/宝永地震(東海・東南海・南海地震、同時発生・死者2万人以上)
M8以上
 147年後
1854年/安政地震(東海・南海地震、連続発生・死者8千人以上)
M8以上
 15X年
200X年/平成地震(東海・東南海・南海地震同時発生?・死者2.7万人)
M8.6?
上の写真(電柱上部青い帯)は安政南海地震(1854年)時の津波高さを示しています。(徳島県由岐町・写真提供/嶋崎 雅嘉氏(アルパック(株)) 嶋崎氏は、この津波高さ表示について、地元自主防災組織が町民の防災意識啓発のため自主的に設置されたものとして、高く評価されておられます。(東海・東南海・南海地震が発生すると大津波が襲来する可能性があります。揺れたら津波警報と思って、直ちに高台に避難することが大切です)
防災アドバイザー山村武彦

 安政南海地震は、安政東海地震(1854年12月23日)が襲来したわずか32時間後に発生した南海道沖を震源とするM8.4の巨大地震で、近畿から四国、九州東岸に至る広い地域に甚大な被害をもたらせた地震である。
32時間前に発生した安政東海地震と共に被害が余りにも甚大であったがためにその年(嘉永7年)の11月27日に元号を嘉永から安政に改元するほどの歴史的な地震であった。
 近畿地方などは安政東海地震と被害は区別しにくいが、潮岬以西の火災、津波災害はこの地震によるものである。被害の最も大きかった土佐領内では推定波高5〜8mの大津波が襲った。倒壊家屋3000余戸、焼失家屋2500余戸、流失家屋3200余戸、死者372人余という大災害に発展した。
また、大阪湾北部には推定波高2.5mの津波が襲来し、木津川、安治川を逆流し8000隻の船舶が破損、多くの橋を破壊し700人余の死者を出した。さらに紀州沿岸熊野以西では津波被害が多く大半が流失し、紀伊田辺領内では推定波高7mにも達し被害を大きくした。この津波は遠く北米海岸にも達したという記録も残されている。
 この地震による全国的な被害は全壊家屋20000余戸、半壊家屋40000余戸、焼失家屋2500余戸、流失家屋15000余戸、死者約30000人と推定されている。
この地震で高知では約1m地盤が沈下して浸水しその他の地域でも1m前後の沈下または隆起があったといわれている。宝永地震のときと同様に四国道後温泉では温泉が翌年の2〜3月になるまで湧出が止まった。この地震の余震はその後9年間に2981回ありそのうち大地震は7回もあったと伝えられている。安政の南海地震の5ヶ月前の7月9日(嘉永7年6月15日)に伊賀上野地震があり、奈良から伊勢湾沿岸に被害があった。今後発生が懸念されている東海地震と連続して東南海・南海地震の巨大連続地震の発生に充分注意を払う必要がある。
中央防災会議は平成15年12月16日、東南海地震、南海地震が発生した場合の被害想定と、震度6以上の揺れに襲われる地域及び津波災害の恐れのある地域を、防災対策推進地域(推進地域)に指定をしたが・・・
複雑な地震防災対策は混乱を招く
 地震が発生したとき、著しい災害が想定される地域を、東海地震では「強化地域」、東南海・南海地震では「推進地域」の名称で指定している。両地域にダブって指定されている地域は名古屋市など110市町村に上る。東海地震は「大規模地震対策特別措置法」、東南海・南海地震は「東南海・南海地震に関わる防災対策特別措置法」と別々の法律に基づいている。それぞれの想定地震ごとに「専門委員会」が設置され、それぞれに「被害想定」「対策大綱」「応急対策要領」などが定められ、自治体や事業所にはそれぞれの地震を想定した防災計画策定が要求される。その多くは共通事項が多く個別に策定する意味を持たない。こうした複雑な国の防災対策は自治体業務をことさら煩雑化し、市民の防災対策にも混乱を生じる恐れがある。
相関関係にある三地震対策を統合すべき
 東海地震、東南海地震、南海地震は同時、または連続して発生するという相関関係にあることは、白鳳地震(684年)、仁和地震(887年)、慶長地震(1605年)、宝永地震(1707年)、安政東海・南海地震(1854年)など、過去発生した数々の地震が証明している。学会でも東海地震と南海地震が同時または連続して発生する可能性が高いことが通説となっている。中央防災会議も平成15年9月17日、三つの地震が同時に発生した場合の被害想定を発表していることを考えると、将来さらに「三つの地震同時発生想定」の法令や対策が策定される可能性が高い。
 三地震の相関性を認知するのであれば、個々の法律、個々の地震防災対策を一元化し、統合するべきである。防災対策は最悪に備えるのが基本である。単独地震発生想定の防災計画では同時巨大地震発生には対応できない。単独地震発生と異なるのは、被災地域が広範にわたるため、救援隊・緊急物資の不足、広範囲のライフライン長期断絶、道路・交通機関網の長期途絶などが予想されるので、最悪を想定した自己完結型の防災対策が望まれる。国の地震防災対策は、個々の法律策定のプロセスやしがらみに捉われず、国民が理解しやすいシンプルで実践的なものに直ちに改定すべきである。
防災システム研究所山村武彦

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